自宅サロンを開業する際に
「開業届って必ず提出しないといけないの?」
「自宅で細々とやる予定なんだけど…。」
「扶養の場合どうなるの?」
というような疑問もあると思います。
今回はそのような疑問にお答えしていくのと同時に、
- 開業届を出すメリット・デメリット
- 自宅サロンの開業届を出すベストタイミング
- 確定申告とは?
- 確定申告することのメリット・デメリット
- 扶養から抜けるべきか?
- 開業届の出し方
をお伝えしていきます。
一つ一つの項目はなんとなく分かるけど、「自分には何がベストなのか」という事がこの記事を読むことで判断できるようになります。
ご自身の働き方や状況を加味してベストな状態で自宅サロンを開業していきましょう!
開業届とは?
早速、開業届とは何かを確認していきましょう。
- 新しく事業を始めた時
- 事業用の事務所を新設・増設・移転した時
の手続きです。
事業を開始した1ヶ月以内に提出します。
自宅サロンの場所の管轄の税務署に
- 直接提出
- 書類送付
- e-Tax
の3種類の方法から提出しましょう。
自宅サロンの開業届を出さないと違法?
原則として、事業を開始して1ヶ月以内に提出が望ましいですが
結論から言うと
違法ではありません。
罰則等はありませんのでご安心ください。
しかし、自宅サロンで開業を行う中で開業届以外にも必要な手続きが複数発生するので、これから紹介する項目で自分にはどの選択が最良か確認していきましょう。
自宅サロンの開業届を出すことによるメリット・デメリット
では、最初に自宅サロンの開業届を出すことによるメリット・デメリットを紹介します。
開業届の提出は必須ではないことが分かりましたが、実際に提出することで得られることも多くあります。デメリットもあわせて確認しましょう。
自宅サロンの開業届を出すことによるメリット
自宅サロンで開業する場合でも業種によってはマシンを導入したり、大きな備品を購入したりするために何かと経費がかかるもの。
その状況も踏まえた上でのメリットもありますので見ていきましょう。
確定申告ができる様になる(青色)
確定申告とは毎年1月1日〜12月31日の1年間の中で生じた所得と、それに応じた所得税を計算し、厳選徴収された税金や予定納税額がある場合に清算する手続きです。
開業届と一緒に青色申告承認申請書を税務署に提出することで、確定申告ができる様になります。
確定申告(青色)ができることで
- 青色申告特別控除が受けられる
- 赤字が出た場合に3年間繰り越して控除を受けられる
- 赤字が出た場合、前年に繰り戻して控除し、前年度の税金が還付を受けられる
- 家事や事業でも使っている家事関連費を経費にできる
- 30万円位未満の固定資産も経費として計上できる
などの所得税を節税することが可能になります。
確定申告については下の項目で後ほど更に詳しく説明していきますね。
就労証明になる
就労証明とは、就労(働いていること)を証明するものです。
- お子さんが保育園や学童に入園する時
- 本人が転職した時
- 外国人労働者がビザを申請・更新の時
に必要になります。
その際に開業届があると公的に事業を運営していることが証明されます。
退職金積立ができる
個人事業主は退職金がないため、小規模企業共済制度を活用して老後に備えることができます。小規模企業共済制度は独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営しており、開業届を出している個人事業主が利用可能で、掛け金は月1,000円〜500円単位で7万円まで選ぶことができます。
また、この小規模企業共済制度での掛け金は全て所得税の控除の対象になり節税ができます。退職金(共済金)を受け取る際も節税効果があり、もしもの時に低金利の貸付制度もあるため開業届を提出した際は一度チェックしておきましょう。
賠償責任保険に加入することができる
自宅でサロンを営業する際に業務中のアクシデントも考えられます。例えばお客様の持ち物を汚してしまった、施術によってお客様の肌が荒れてしまった、などです。
この様な場合も賠償責任保険に加入しておくことで補償を受けられます。
開業届がなくても加入できるケースも多いですが、中には開業届の提出を求められるケースもあります。何かあった時のために、自宅サロンで営業する際は加入しておきましょう。
補助金や助成金が申請できる様になる
開業届を提出することで補助金や助成金の申請の対象になります。
補助金や助成金が活用できれば開業もより円滑に理想に近い状態で準備ができるでしょう。
補助金や助成金をより詳しく調べたい、どんなメリットがあるのか、自分に合った補助金や助成金が知りたい!という方はこちらの記事もご覧ください。
参考: 自宅サロン開業に活用できる助成金や補助金制度をわかりやすく解説!【2024年版】
自宅サロンの開業届を出すことによるデメリット
では次にデメリットを紹介していきます。
開業届を提出することで多数のメリットがあることが分かりました。ご自身の状況に合わせた選択ができるようにデメリットも含めて開業届を提出するのか検討しましょう。
扶養外になる場合がある
開業届を提出したからといって扶養から外れるわけではありません。
しかし現在、配偶者の扶養に入っていて、収入が一定数を超えた場合には扶養から外れることがあります。
所得がどれくらい増えるのか、それによって扶養内と扶養外どちらがいいのかを検討したほうがいいでしょう。
下記の項目で扶養に入っている事のメリット・デメリットもご紹介していきますので参考にされて下さい。
失業保険が受給できなくなる
開業届を提出するということは、失業状態ではなくなるため、失業給付金を受けることができません。
もし、現在失業給付金を受給している場合はハローワークに報告を行いましょう。
こんな人は開業届を出そう!
開業届を提出するメリットとデメリットをご紹介しました。
しかし、結局のところ、開業届を提出すべきかどうか迷っている方もいらっしゃると思います。
そんな方はこちらをご覧ください。
節税&手取りを増やしたい!
節税して手取り収入を増やしたい場合は開業届の提出をおすすめします。
また、それと同時に青色申告承認申請書を提出し、青色確定申告を行いましょう。
開業届の提出と青色確定申告を行うことで手間は増えますが、様々な控除や優遇が受けられるため、今よりもっと収入を増やしていきたい!という方には開業届を出すことをおすすめします。
事業を大きくしていきたい
事業を大きくしたい、明確な事業プランがある!という方は開業届を提出することをオススメします。開業届を提出することで、屋号名義の口座が作れたり、補助金や助成金も対象となるので事業活動をより円滑に進めていくことができるでしょう。
自宅サロンの開業届を出すベストなタイミングはいつ?
基本的に開業届を税務署へ提出するのは開業して1ヶ月以内となっていますが、それを過ぎたからといって罰則が発生することはありません。
それを踏まえ、一番タイミングが良いのは
ズバリ、年間の所得が48万円以上になった時です。
1年間の売上 ー 諸経費 = 所得
1年間の所得が48万円になると開業届の提出の有無に関係なく、確定申告の義務が発生します。
(副業の際は20万円以上で申告が必要です。)
確定申告が必要になる所得になったら、青色申告をするために開業届を提出しましょう。
確定申告とは?
では、確定申告とは一体なんでしょうか。
確定申告とは毎年1月1日〜12月31日の1年間の中で生じた所得と、それに応じた所得税を計算し、厳選徴収された税金や予定納税額がある場合に清算する手続きです。
所得とは1年間の売上から経費を引いた額のことで、この額が48万円を超える場合は、確定申告を行わなければなりません。
確定申告では青色申告と白色申告の2種類の申告方法があります。
白色申告は事前の申請が不要で帳簿も比較的シンプルですが節税のメリットがありません。
逆に青色申告は事前の申請が必要で帳簿も少し複雑ですが、所得の控除や赤字の場合繰越で控除を受けられたりとメリットが多いです。
*青色申告と白色申告の違い
青色申告 | 白色申告 | |
事前の申請 | 要 | 不要 |
控除 | 10/55/65万円 | なし |
帳簿の種類 | 複式 | 単式 |
必要書類 | 貸借対照表/損益計算書 | 収支内訳書 |
赤字繰越 | 3年まで可能 | なし |
家族給与の経費計上 | 上限なし | 配偶者:86万円まで親族:50万円まで |
引用:所得税の確定申告|国税庁
青色確定申告とは?
まず青色申告からご紹介していきます。
先程の表にもありましたが大まかな概要として
- 事前に申告が必要
- 段階に応じて10万円/55万円/65万円の控除が受けられる
- 帳簿の種類は複式帳簿で借方•貸方を明記し、左右同じ金額に入力
- 提出する書類は、貸借対照表と損益計算書
- 赤字の繰越は個人事業主は3年、法人は10年できる
- 経費として計上できる家族給与は上限なし
という内容です。
白色確定申告とは?
では次に白色申告です。
- 事前の申請は不要
- 所得の控除なし
- 帳簿の種類はシンプルな単式で一つの項目に対して増減を書く形
- 提出書類は、収支決算書
- 赤字の繰越などの制度なし
- 経費として計上できる家族給与は上限があり、配偶者の場合86万円まで、親族の場合は50万円まで控除
という概要になっています。
自宅サロンを開業する際にいつから確定申告が必要?
先ほどは開業届を提出するベストタイミングという観点でお伝えしました。
ここでは確定申告の必要な場合についてご紹介します。
確定申告は年間の所得が48万円以上になった場合、必ず必要です。
所得 = 1年間の売上 ー 諸経費
1年間の所得が48万円になると開業届の提出の有無に関係なく、確定申告の義務が発生します。
(別に本業をしていて自宅サロンが副業の場合は20万円以上で申告が必要です。)
開業届を提出していない場合、罰則は発生しませんが、確定申告が遅れたり無申告の場合は無申告加算税と延滞税がかかります。また、確定申告を行うとしても白色申告しかできず青色申告で多くの優遇を受けることができません。所得が48万円以上になった際には開業届と青色申告承認申請書を一緒に税務署に提出し、青色申告で確定申告が行える状態にしておきましょう。
確定申告で得られるメリット
確定申告で得られるメリットとして
- 所得税の控除を受けられる
- 納税しすぎてしまった場合に還付金を受けられる
が大きなメリットとして挙げられます。
所得税の控除は、サロン開業にかかった費用を計上することで、所得からその費用を控除し所得税を減らすことができます。
また、納税しすぎてしまった場合(例えば源泉徴収額が実際の所得税額を上回っていた場合)など、確定申告をすることで返金の手続きへと進むことができます。
確定申告をしないとどうなる?
遅れたり無申告の場合は”無申告加算税と延滞税”がかかります。
確定申告は通常2月16日〜3月15日の期間内に申告手続きを行わなければなりません。
無申告加算税は、納付するべき税額が50万円までの部分は15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額です。
延滞税は、法定納期限の翌日から納付するまでの日数に応じて利息に相当する延滞料がかかります。
確定申告をサポートするツールを活用したり、処理がわからない場合は税務署の相談窓口に聞くなど、遅れがないように申告しましょう。
扶養に入っていることのメリット・デメリット
ここまで、開業届や確定申告について紹介していきました。
皆さんの中には現在、扶養内の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まず扶養に入るということにおいて2つの側面があります。
- 税法上の扶養
- 社会保険の扶養
この観点で混乱しないようにそれぞれ確認しましょう。
扶養に入っていることで得られるメリット
まず、扶養内でいることでどんなメリットが得られるでしょうか。
今回は特に影響の大きい3つをピックアップしてお伝えします。
働き手の扶養控除が受けられる
この場合、配偶者が
- 48万円以内の所得であれば配偶者控除
- 48万円超〜133万円以下の場合は配偶者特別控除
働き手の所得と配偶者の所得により働き手の所得控除額が決定されます。
配偶者の国民年金が受け取れる
配偶者は国民年金の第3号被保険者として扱われるため国民年金を払わなくても、将来的に国民年金を受け取ることができます。
*第3号被保険者…厚生年金に加入している保険者に扶養されている人のことで年収が130万円未満の方のことをいいます。
配偶者の健康保険が適用される
働き手の社会保険の扶養に入る配偶者は健康保険料を支払っていなくても、健康保険の被扶養者となり病院の診察を3割負担で受診する事ができます。
また、扶養に入れる事で働き手の保険料の増額はありません。
扶養に入っていることによるデメリット
ここまで見ると扶養に入ることの魅力を非常に感じますが、どんなデメリットがあるのでしょうか。
配偶者の働き方に制限がかかる
働き手の配偶者扶養内に入るためには働く時間や収入に制限があります。
- 配偶者の所得が103万円(働き手が扶養控除を受けられる限界値)
(扶養者自身に所得税がかからない限界値) - 配偶者の所得が106万円(パート先の社会保険加入義務が発生する限界値)
- 配偶者の所得が130万円(働き手の社会保険の扶養内の限界値)
103万円に所得を抑えるためには一月当たり約8万円までに抑えなければなりません。
厚生労働省の取り組みとして企業側へ支援を行い、多少働き過ぎてしまった場合も事業主の認定があれば扶養を継続できたり、本人が扶養を抜けて保険料を支払っても手取りが減らないように時給を上げるなどの対策をとっています。
配偶者の将来受け取れる年金が限られる
扶養に入っている事で働き方に制限が出るため、配偶者自身に入ってくる年金が国民年金のみになってしまいます。
働き手は厚生年金+国民年金ですが、配偶者は国民年金のみになるので社会保険に自分で加入している場合に比較すると金額は少なくなる傾向にあります。
国民年金の受給額例:月額満額68,000円(令和6年度)
自宅サロンを開業するにあたり、今後のライフスタイルを考える
今回、開業届を出さないと違法か、という内容で確定申告や扶養のことなどを様々な観点から紹介していきました。
説明が所々重複していたように、今回のテーマは複数の関連しあった項目の中で選択をしていく必要があります。
説明の中身が理解できても、
「じゃあ実際には何を選べばいいの?」と感じる方もいらっしゃると思います。
そこで、今後のどんなライフスタイルを望んでいるのかが重要なポイントになります。
これから自宅サロンを開業しようという想いと同時に、大切にしたいことを一度確認しましょう。
扶養や控除の事は一旦横に置いて、
- 家族との時間
- 収入
- 自分の夢
など、優先したいこと、大切にしたいことに優先順位をつける事で今何を優先すべきか、どこに重点を置くべきかが見えてくるのではないでしょうか。
そこで、働き手のパートナーや家族に相談した上でどのような働き方にしていくのかを決めることをおすすめします。
自宅サロンの開業届を提出する方法
では、最後に開業届を提出するために必要なことを紹介していきます。
開業届の提出方法を選ぶ
開業届を提出するために3種類の提出方法があります。
- 窓口に提出
- 書類を郵送
- 電子申請 e-Taxの利用
窓口では書類の不備があった場合その場で訂正ができますが、税務署が空いている時間に出向く必要があります。開業日を開運日にしたい、記念の日に開業したい、という方は即日処理してもらえるので窓口に提出することをお勧めします。
書類の郵送は便利ですが、書類に不備があった場合、再提出の可能性もあるため書類の記入に注意する必要があります。
e-Taxも窓口に出向く必要も申請用紙を印刷する手間も省けますが、マイナンバーカードが手元に必要であることと、マイナンバーカードを読み取るためのカードリーダーが必要となります。
開業届提出に必要なものを準備する
- 窓口・・・印鑑・本人確認書類・個人番号がわかる書類
- 郵送・・・開業届・返信用封筒・本人確認書類・マイナンバーカードの写し
- e-Tax・・マイナンバーカード、カードリーダー
どの方法にも共通している書類は個人事業の開業・廃業届出書(開業届)です。
引用にも添付していますので郵送の方はこちらから印刷してください。
窓口の方は、税務署に置いてあるのでそこで記入することも可能です。
開業届の書き方を知る
1.納税地の税務署名と提出する日
2.納税地(◯住所地、◯居所地、◯事業所等のいずれかにチェックをし記入)
3.氏名と生年月日
4.個人番号
5.職業
6.屋号
7.届出の区分(開業の場合は開業にチェックのみでOK)
8.所得の種類(不動産や山林による所得以外は事業所得)
9.開業・廃業日
10.事業所等を新増設•移転•廃止した場合/廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合
新規開業の場合は記入不要
11.開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
12.事業の概要
13.給与等の支払いの状況(人数、給与の支払い方法、源泉徴収の有無をチェック)
14.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無(源泉所得税は基本的に徴収した日の翌月10日が納期だが、給与の支給人員が常時10人未満の場合は申請すれば年2回にまとめることができる。その申請書を提出する場合はチェックする)
15.給与支払いを開始する年月日(従業員に給与を支払う場合に記入)
開業届について理解したら、自宅サロンの集客も考えよう!
開業届について理解したら次は自宅サロンの集客についても考えていきましょう。
自宅サロンの開業に伴って高い掲載費をかけずに集客できるサイトがあれば心強いですよね。
私たち【プライベートサロンナビにお任せください!】
私たちは2024年2月1日から、個人サロンを応援するサイトとして「プライベートサロンナビ」の運用を開始いたしました。
SEOコンサル会社でNYマーケティング株式会社 代表 中川裕貴と現役セラピストの古澤真希(makino)が運営を行います。
特徴として、サロンのこだわりやオーナーの想いをアピールすることができ、より自分の提供するサービスを求めているお客様がサロンに足を運んでくれるようになります。
運営の中川は14年のマーケティング歴を持ち、自身の会社NYマーケティング株式会社も3期目に突入、業界最大のポータルサイトを0からグロースし、サロン業界では有名なセブンビューティーの支援に入り、売上を大幅に伸ばした実績を持ちます。
中川も日頃からパソコンに向き合う時間が多いことから、身体のメンテナンスは個人サロンの方にお願いしているそうです。
緻密なマーケティングとSEO対策をすることでプライベートサロンナビに多くのお客様が訪れ、皆さんのサロンがより多くの方にご利用いただけるよう取り組んで参ります。
オープン記念として「1年間は掲載料無料」で共に個人サロンを盛り上げる仲間を増やしています。
InstagramでもWEB集客のノウハウを余すことなくお伝えしていますので有益な情報を受け取ってくださいね。
Instagram:業界No.1実績あり!【サロン集客の先生】中川裕貴
中川の実績:NYマーケティング株式会社
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は開業届を出す選択をする前に、扶養をどうするか、確定申告をどうするか、という視点でもご紹介していきました。ご自身が今とこれからのライフスタイルの希望を明確にすることが重要だと感じます。
最善の選択ができるよう検討してみてくださいね。
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